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2017年読んで良かった本

2017年、全然本読んでね~!(絶望)

ひとまず、読了して印象に残ってる本を紹介しておきます。

 

「インスタント・ジャーニー」田丸雅智

20編近い短編の詰め合わせだけど、どれも完全に独立した物語だから、ちょっと気が向いたときに、気が向いたページから読める、ゆるい世界一周。

耳に馴染みのある国の土産話や、街の片隅にこんな世界があるかもしれないと思わせられるような、不思議な体験の話だったり、色々です。

虚無を詰めた缶詰の工場、天の川に棲むスターフィッシュ釣り、マトリョーシカ健康法、瓶に詰められて実家に帰省する話も!

読んだからって旅に出たいとは思わないけど(笑)、もしかしたら隣の家では、いつも通る裏道から一本外れた通りには、フォロワーさんが住んでる都市には、遠く離れた世界の裏側には、こんなサービスやこんな珍妙な出来事が転がってるかも……、って少し考えてしまうようになる。

タイトルも大変かわいらしい。その場で手軽にできる、インスタントなジャーニー。

ぜひみなさんも、この風変りな世界旅行にいってらっしゃいませ!

ちなみに、私が買ったときの版には、オタクには馴染みの深い賢章先生のオススメコメントが付いていました。

ちょっと抜けてたり、ぼんやりしてる男の人が主人公の話が多かったから、賢章先生の声で脳内再生しながら読んでも楽しい。

 

 

「その他の外国語エトセトラ」黒田龍之助


著者の黒田先生は、フリーランスの外国語教師で、メインはロシア語だけど、なかなか焦点の当たりにくいウクライナ語やチェコ語、ポーランド語なんかもされています。

タイトルにもある「その他の外国語」というのは、そのままの意味。本屋で外国語を勉強しようとすると、どうしても、有名どころの言語ばかり集めて札が付けられていますよね。「英語」「フランス語」「スペイン語」「ドイツ語」とか。

黒田先生は、本屋の棚で「その他」とか「その他の外国語」でまとめられてしまう国の言語と日々暮らしています。

なかなか語学に携わる方のエッセイ本ってなかなかお目にかからないので(あったらすみません)、とても興味深く読みました。

どんな勉強の仕方をしているのか、どういうことを考えながら言語に触れているのか、困ったエピソードや印象深いエピソードなど。

私はチェコやポーランドに詳しくはないけれど、黒田先生がどんな風にその場所に生きる人たちの言葉と暮らしているのかかいま見れて、楽しかったです。

ちなみに、作中でも何度も話に挙がってますが、黒田先生は留学やホームステイの経験もありませんが、外国語でご飯を食べてらっしゃいます。

外国語の勉強が嫌いとか、苦手意識を持ってる人にこそ、読んでいただきたい。

 

 

「アイネクライネナハトムジーク」伊坂幸太郎

元々、歌手の方に歌詞を書いてくれと頼まれて、歌詞は書けないけど小説なら、と応えた経緯があって生まれた小説らしくて、その生まれすら伊坂作品の雰囲気が出ててちょっと笑いました。

「週末のフール」に似た、お得意の群像劇

時系列と、視点になるキャラクターが混ぜられてるので、ちょっと騙されがちになってしまうけど、「あー!あのときのあいつ…!」ってなったりする、人の人生が行き交う物語。

夜の街角でその人に合った歌を流してくれる人、トラブルに巻き込まれたときの機転の効いた対処法、電波に乗った声で育てられる恋心、ひとりのボクサーが変えた人生。

いろんな人の、想いや価値観や存在が相まって、必然の奇跡が起きる。運転免許センターで、駐輪場で、リングの上で。

まあ、今日楽しくなくてもいっか、と思える感じのゆるいハッピー感。

 

そういえば、「アイネクライネナハトムジーク」というタイトルは、アマデウス・モーツァルトの代表曲のひとつでもありますよね。FGO勢には、その辺りから興味を持ってもらっても、面白い物語だと思います。

 

 

「五十坂家の百年」斉木香津

 

現代に残った数少ない立派な武家屋敷を持つ、五十坂家。「人喰い」と呼ばれるほどあこぎな稼ぎ方をして裕福になった五十坂家も、今やその隆盛は見る影もない。

その所有者である双子の老婆が、手を繋いで崖から飛び降りた。

屋敷の床下から掘り起こされたのは、4つの死体。

遺された親族たちの胸中と、この屋敷が抱えてきた闇と、双子の老婆がひた隠しにしてきた秘密とは?

 

こういう小説ジャンルを何と呼ぶんでしょうか?「家系もの」?「三世代もの」?

三世代、あるいはもっと長期に渡って、ひとつの家系の歴史と足跡を辿っていく系統の物語です。

五十坂の百年は、あらすじからも御察しの通り、ミステリー的な要素も含みます。

といっても、表紙めくったら家系図載ってるし、その順番通りにこの一族が辿った過程が描かれていくので、割と次々と、「床下で死体になってたのはこいつだな…」「この雰囲気はたぶん…」って感じで、犯人も被害者も容易に推測できます。

若干裏関係がわからなくて推理しづらいところや、この描写って何の関係が?みたいなところもありつつ進みますが、察しの良い人はサクッとわかると思います。

割とこう、リアルな人間の駄目さ加減や、無意識の悪意や嫌味、鬱憤と苛立ちの積み重なり……みたいな悪徳が、あちこちで発露して折り重なっていくので、こういう感情をフィクションとして上手く受け止めきれない人には、厳しいお話かもしれません。

私は正直、気持ち悪くなりながら読みました(でも完走した)

「魔法使いと戦うために、帰ってきたんだよ」

主人公に馬鹿にされた、登場キャラの1人の言葉が印象的。

魔法使いなんて実在しない。

だけど彼は、魔法使いがいるのかもしれないと自分に思わせた呪いの数々と、戦うために戻ってきたのだ。

家族の呪いって、幼少期~成長期に受けた呪いって、根深いよね。

 


ちょっとばかり近況報告。プライベート寄りな内容なので、有料にして隠してはいますが。

というわけで、年末年始のご挨拶は控えさせていただきますね。

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