化粧品は、自分の余裕と興味と「好き」の範囲内で楽しむものだから


noteに書いた文章ですけど、こっちにも載せておきます。

 

もうそろそろ一年経つくらいになるけど、去年の冬に流行った某アニメで、出てきたキャラクターが某デパートブランドのコスメ(リップバーム)を使ってたことが話題になって、オタクがデパートカウンターに殺到(?)した、という騒動がありました。

リップバームは売り切れ続出で、コスメブランド側はどうして突然バカ売れしたのか、リサーチに苦心した、という話でした(私がカウンターにいれば、リビングレジェンドの話で盛り上がれたのに

先日、ブランド好きな友人がいらっしゃる方から、とあるメールを頂きました。

「ブランドものを好きな友人が、例の某アニメの件で『オタクが(似合わないくせに)カウンターに来ていて~』という話をしていた」というお話で、友人の言葉に動揺してしまったんだけど、オタクでも化粧の話をする私のブログに勇気づけられました、という嬉しいお言葉を頂きました。

自分個人に対する攻撃じゃなければスルーすることもできますけど、自分の友人が、自分の好きなものや自分の属する界隈のことに何か言っていたら、やっぱり動揺しますよね。

私も普通にオタクをしていて、化粧は無知&無関心なところから始めたから、美容の世界に踏み込んでいくことに気後れする気持ちはわかります。自分でも気後れしてるんだから、人から悪しざまに言われれば、余計に憂鬱になる。

今日は、それでも、そんなこと気にしなくていいんですよ、っていう話をしていこうと思います。

大事な友人がそのこだわりゆえに、オタクが高級コスメを買うことに関して、こちらが傷つくような発言をされたのは、残念だなと思います。

オタクが化粧品に貢ぐの、別に悪いことじゃなくない?

 

1.人間みんな、好きなものはたったひとつじゃない

人間はみんな、好きなものや趣味や価値観は、たったひとつじゃありません。

「化粧はそれなりに好きだけど、ドラマやアイドル、スクラップや写真、鞄集めもカフェめぐりも好き!」みたいな人も、世の中には多いと思います。

私たちみたいなオタクの場合は、この複数の好きなものが、アニメや漫画やゲームや舞台だったりするだけです。

みんな、限られた稼ぎの中から、どれくらいの金額をどの「好き」に使うか、工夫して割り振っているわけです。オタクもコスメフリークもアイドルの追っかけも、みんなそうですよね。

そういう意味で、いくら身だしなみの一環とはいえ、化粧品に月にどれくらいの金額かけてるかなんて、他人と比較しなくてもいいんじゃないかな、と私は思っています。

化粧品は、最低限は身だしなみの範疇かもしれないけど、「嗜好品」の部分も大きいものなので、特に金額比較は難しいと思います。

みんな、自分の好きなものや必要なものに優先順位をつけて、金銭や時間を配分している。

ブランドコスメが好きな人は、勿論化粧品の金額の比重が大きくなるでしょうし、他に好きなものがある人は、上手く最低限で済ませられるように我慢や代替えを探したりする。

だから、他人の懐事情や舞台裏事情と比べなくていいんじゃないかなと思います。

数年前に撮った自分のアイテム群

 

2.興味の入口は、多ければ多いほど

まあでも、ブランドものや、コスメを好きな人には、その人たちのこだわりや価値観があるので、突然初心者がずかずか入ってくるのは、むっとするところもあるんでしょう。

我々オタクも、明らかなパリピが「私オタクなんだ~w エヴァとかワンピとか?」とか言ってきたら、やっぱり若干モヤる気持ちもありますよね(笑)

ライトな感じでも、ちゃんと「好き」を大事にして入ってきてくれるなら嬉しいですけど、明らかに「私はこれを知っているんです」と標榜するためだけの、ファッション感覚の土足踏み荒らしは、腹立ちますよね。「私の好きなアニメは、おまえが『オタク』って名乗るだけのためのものじゃねーぞ!」みたいな感覚。

きっとそういうのはどこの界隈でも一緒です。

ブランドものやデパートコスメが好きな人は、本当に好きでそのブランドを使ってるでしょうから、「アニメのキャラが付けてたから」というだけの理由で、自分が好きになったわけでもないのに買いにくることに、複雑なものがあるんだと思います。

でも、ちょっと冷静に考えると、そういうのって良い興味の入り口なんですよ。

これで、アニメに影響されてリップバームを買って帰った人が、家で使ってみて、「あ、これ好きかも! 私に合う! え~、これいいなあ~! 化粧興味なかったけど、今度から奮発してリップだけはこれ買おう~! え、待って、他のスキンケアとかどんな感じかな……、次行ったら見るだけ見て帰ろうかな……高いかな……一応お金持って行こ」って思うのって、全然アリですよね!

それで、コスメフリークよりは頻繁に来なくても、多くは買い物しなくても、小さな新しいお客様が増えればカウンターも嬉しいじゃないですか。

リップバームのお蔭で、メーカーさんに莫大な利益が出て、そのお金で最新鋭の研究が進んで、更に高品質な新商品が出たら、元々のブランドコスメ好きな人たちは楽しく新作を使えるわけじゃないですか。

みんなwinwinじゃん!

逆に、コスメフリークがいっぱい今までそのコスメブランドに注ぎ込んできたお蔭で、お金に余裕の出来たコスメブランドが、何かの作品とコラボするかもしれない(天下の資生堂がセーラームーンコラボしてたもんね)そうしたら今度は、そのコスメユーザーが、アニメファンになるかも。

その人が原作、円盤、買ってくれたら作者様や版元に貢げるぞ! そしたら二期もキャラソンも夢じゃなくなるじゃん!

世の中は持ちつ持たれつで、誰かが何かに「興味を持つ」ことには絶大な力があるんです。

新しい人に興味を持ってもらうっていうのは、とっても大事です。どんなジャンルでも。

アニメがきっかけでも、化粧や美容に興味を持つ人が増えるのは、とても良いことだと思います。

 

3.販売する側からしても

上でも少し述べましたけど、化粧品は「嗜好品」である側面は否めません。

車や時計と似たようなものです。生活上、仕事上、最低限必要なものではあるけど、趣味嗜好としてこだわったり高級なものに手を出すこともできるものです。

なので、どうしても、ひとによってかける金額に大きな差が出ます。

「生活上、1人の人間がそれにかけられる金額には、それぞれ上限値がある」ことは販売側もわかっています。

生々しい話になりますが、先月や去年を超える売上を考える以上、販売側も「1人がひと月に化粧品にかけられる金額には上限がある。この上限値を引き上げるのは、お客様にも生活があるので難しい。それなら、売上を伸ばすためには新規顧客を増やして、化粧品を買ってくださる母数を増やさなければ」という意識は、多少なりと持っています。

その上、化粧品は消耗品なので、1人のお客様が大量の化粧品を買ったところで、それを使って消費しないと、次のお買い物はありません。

どんなに化粧水を買い込んでも、それを使う顔はひとつです。1人が高級化粧水を3本買って帰って3か月お買い物に来られない事態ばかりでは、お店は安定しません。

プチプラの化粧水を1本買ってくださるお客様3人が、毎月お買い物に来てくださるのも、大事なことです。

なので、今まで化粧に興味のなかった人、化粧品を買うことがそうそうなかった人が、リップバームから(だけ)でも買ってくださるのは、大変ありがたいし、嬉しいことです。

金額面だけじゃなく、時間や興味を持つことにだって、みんな一人ひとり容量がありますから、その中からリップバームに時間や興味を割いてくださるのは、とても嬉しいんですよ。

「それ、気に入りました?! 良かったら、より良い使い方とか、リップ以外の使い方とかもアドバイスできるので、一緒にキレイになりましょう!」って思います。

メイク大好きなお客様に、「新色出たんですよ! 絶対お客様の好きな色だから、付けて帰ってくださいよ~!」って紹介するのもハッピーです。最近の肌悩みとか、環境が変わるからメイク変えたいとか、次々派生して雑談に興じるのも楽しいです。

でも、メイクは慣れてなくて……って、勇気出して恐る恐るカウンターに来てくださった方の、メイクして差し上げた後の、鏡をのぞきこんだときのキラキラした目だって、私たち販売員は知っています。

誰だって素敵になれるし、キレイになれます。

高級化粧品ばかり買わなくたって、メイクに興味なかったオタクだって。

誰がカウンターに来たっていいし、誰が何を買っていってもいいと思ってます。あなたが納得できた買い物なら!

漫画でもコスメでも、好きなものだけ手元に集めて悪いことなんてない

 

4.まとめ

そりゃ、「浮浪者みたいな恰好でコスメカウンター来られたら、コスメ好きとして嫌な気持ちになる」みたいな話なら、まあわかります。

パリピギャルが自撮り棒持って、ビッグサイトとコミケ参加者バックに、インスタに上げるための写真撮りに来たら超嫌だもん。わかる。

でも、正直な話すると、ジャージで百貨店のコスメカウンターに来て、買い物する気もないのに話し相手を求めてカウンターに居座る面倒な「オキャクサマ」もいるので、最低限興味を持ってたり、「これを買おう」って決意して来てくださる方は立派な普通のお客様です。

「化粧っ気のない顔でカウンター来ないでほしい」という話なら、見当違いも甚だしいので、もうその話はやめてください。その話題は、肌荒れや初めての化粧に悩んで、すっぴんで来られる方のご相談を、販売員と同じくらいこなしてから論じて欲しいです。

化粧バッチリ、ドレスコードばっちりで、母親のお腹から産まれてくる子供はいません。みんな最初は初心者だし、化粧で四苦八苦しますよ。

入口はどこからでも、興味持って、どんどんステップアップしていけばいいと思います。

ブランドコスメからでも、プチプラコスメからでも!

お子様の養育費とか、別の習い事とか、他の好きなものとか、生活の合間の余裕のある範囲で、少し興味を持ったり好きになったりした化粧品にお金をかけるのが一番です。

これは、オタクでもコスメフリークでもBAでも、世界中の人に通じる共通の話です。

なので、ブランドだから偉いとか、ブランド化粧品で揃えなきゃいけないとか、オタク(他にお金をつぎ込んでる人)は軽々しくブランド化粧品を買ってはいけないとか、そんなことは絶対に無いです。

1人がひと月に使えるお金には限界があります。その中で、自分がしんどくならない範囲で、化粧を楽しんでくれたら嬉しいなと思ってます。

 

長々と書きましたが、「とにかく好きなものを否定しなくていいんですよ!」というお話です。

ブランド好きは好きでいいし、アニメ好きは好きでいい。

でも、「自分の好きが誰かに否定される」必要も、「人の好きを否定する」権利も、誰にもないはずです。

オタクがデパートコスメ買ってもいいし、コスメフリークがアニメ観てもいいじゃん。

あまり気にしすぎず、自分の余裕や興味や「好き」の範囲で楽しんでくださいね。

オタクの化粧品カウンターのお姉さんより。

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